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“困難な時代”のヨガ教室

 テレビなど、マスコミからの取材電話はよく笑わせてくれます。「逆立ちしてソバを食べられるか?」なんていう質問には、どう答えていいものやら、迷ってしまいます。今日の電話は「パワーヨガの次はどんなヨガが出てくると思うか?」でした。新しいネタを見つけては焚きつけるのはアナタたちなんだから、こっちが聞きたいくらいだって言いたいのをがまんして、次のように真面目に答えました。あくまで私見ですが:
 まず間違いないのは、60才からの健康維持プログラム。“2007年問題”といわれていますが、まもなく1947年以降生まれの団塊の世代が定年を迎え始めます。時間はあるし、健康のためになにか運動を、と考えるでしょう。男だけではなく、ご夫婦仲そろってのほうが続くでしょうか。もちろん、亭主が家にいるストレスからヨガに救いを求めてくる主婦が(冗談でなく)増えるはずです。
 健康保険や介護保険がパンク目前になって、国もあわてて「予防的な健康法を」などと言い出しました。すでに予算カット続きの病院や老人ホーム、ヘルパーたちからは悲鳴が上がっていますが、いずれレッスン料に健康保険が使えるようになるかもしれません。健康視診法や [ラーマクラブ] など、創始者の提唱した“メディカル・ヨガ”がまさに時代に求められるわけです。アメリカではすでにヨガを取り入れている病院が増えているので、遠い将来ではないかも(この分野では東広島支部が病院のリハビリ指導に先鞭をつけてくれています)。医師との連携になれば、それなりの医学知識も必要となり、氾濫するサプリメントや医療用品の宣伝番組には振り回されないようにしなくてはなりません。
 もう一つは、思春期世代への“心のヨガ”プログラム。とくに若い女性が助けを求めていると感じています。世代でいえば団塊世代のあとの、高度成長期の豊かな時代に育った親をもつ子供たち。具体的な課題は一人ひとりそれぞれ違うけれど、ひとことで言えば「不安定」。体の面からみれば、姿勢維持に必要な骨盤周辺のコアマッスルが弱く、自分だけで生きる力がないことを現わしています。背中の特に肩甲骨周辺が硬直しているのは、対人恐怖で他人に対して心を閉ざしているサイン。浅い呼吸で体温が低いのは動物としての陰性化の特徴で、精神性に振れてむき出しの神経のようにナイーブです。つまり「一人で生きていけないのに人が怖く、感受性が鋭い」わけで、社会でボロボロになるのも当然です。
 少ない家族で個室を与えられ、“危ない”ことや“キタナイ”ことから遠ざけられて育った、そんな若者が続々と教室にやってきます。自分のことを大事にする意識はとても強いから、“無理”はしない。で、冷めているのかと思っていると、突然「一生ヨガで生きていく」などと口走って驚かされます。気分の起伏が大きい。
 とにかく彼女たちには、自分の良い面と弱点を、ありのまま実感してもらわなくてはなりません。そして体力をつける努力、体温を上げる努力、自分の感情を見つめる努力・・・。努力することをお洒落じゃないという彼女たちをリードしてゆくのには、根気がいるでしょう。でも長年の実践経験をもつ私たちなら大丈夫。きっとみんなの力になれる。
 それぞれに微妙な課題を抱えてやってくる生徒さんには、人としてのパワーがなくては受け止められません。もともと“そのため”であるヨガ伝統の心のトレーニングが、この困難な時代、いよいよ必要となるでしょう。私自身、また原点に立ち返って努力しなくてはならないと痛切に思います。

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