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ヨガ療法の心構え~長門裕之さんのことば

 ヨガを治療法として用いるに際して、キモに銘じておかないといけない原則がいくつかあります。教室で指導者の皆さんはいつも経験し、実感されておられるはずのことですが、改めて挙げてみましょう。
◇治るのは本人の力である
◇体力は気力に従う
◇老いと死は自然現象である
 これらは西洋医学の医師や看護士も分かってはいるのですが、患者の期待や医療の仕組みが口にすることを許さないのです。創始者が「自力本願」という言葉を掲げられたように、ヨガ教室でできるのは、生徒さん本人が持っている本来の力を発揮できるようお手伝いをすること。それは療法として応用する場合も忘れてはいけないこと。
 俳優の長門裕之さんがアルツハイマー型認知症の妻・南田洋子さんを介護しておられることはご存知でしょう。先日、長門さんが新聞の取材に答えておられるのを読んで、またひとつ大切なことを教わりました。
「…それでも、洋子が忘れていく現象を『進化』と呼ぶようにしています。…自分の世界を造形している洋子は、私には進化しているようにも見えるのです。」
 病気の人を前にしたら、どうしてもその症状をとり除くことだけに気を取られがちです。アサナで腰痛がなくなれば、びわ葉の温灸で浮腫をとれれば…、苦しんでいる本人がそう願うのは当然。けれど施療する側が結果を急ぎすぎては、西洋医学の陥ったジレンマに落ち込んでしまいます。
 突如として不幸な犠牲者を襲う病魔…。病気に対するそういう見方に基づく治療は、ときに肉体において壮絶な戦いを余儀なくします。たとえばガン患者の多くはガンによってではなく抗ガン剤などの治療の副作用によって亡くなっているという現場の声が聞かれます。「ガンは治したが、患者が死んだ」という揶揄は医療現場から起こったもの(この態度は、相手の言い分を聞くことなく『テロリスト』や『侵略者』と呼んで殺し合っている昨今の戦争に通じるような気がします)。
 長門さんの短いコメントにあふれる深い愛情は、まさに相手をまるごと~病気ごと~受け入れています。もちろん治療のために力を尽くされているはず。しかし、病気をも含めて相手をまるごと観る、その視点がヨガ療法においてこそ特に重要だと改めて気付かされました。それでこそ創始者の言われた“人間をまるごと救う”の真意。
 新たな原則がひとつ加わりました。
◇病気も本人の個性である
 今年もまた、たくさんのことを学ばせていただきました。ありがたいことです。新しい年が、もう今から待ち遠しく思います。またご一緒に学びましょう。どうぞ、よいお年を!
 

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