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ハイジ

 子供の頃、大好きで欠かさず見ていたテレビ漫画に「アルプスの少女ハイジ」があります。今でもミュージカルなどで度々公演される名作です。
 あのハイジという名前の由来は、ギリシャ神話の女神・ヒュギエイア。彼女の父親は医学の守護神・アスクレピオスで、医師たちはその庇護のもとで仕事をしていました。よく病院で目にする医療のシンボル「杖にまとわりつくヘビ」は、アスクレピオスの化身です。ところが、娘のヒュギエイアは輝く美しさで知られ、「健康の象徴」として“治す”父とは異なる“癒し”を得意とするヒーラーたちの女神となりました。
 医療の使命は病気と戦い、勝つことであるというアスクレピオス派は、近代になってこそ科学技術の進歩とともに圧倒的な勝利を収めてきたかのようです。しかしそれほど遠くない昔、ヒュギエイア派の「健康とは自然な秩序であり、癒しとは内部からの自発的な力を高める」アプローチこそが、人々のもっとも身近な救いだったのです。
薬草や湯治、手当てやお灸から祈祷まで、体験的に得られた手法が中心で、幸い東洋では(風前のともしびであっても)なんとか受け継がれてきました。そして今、その真価が世界中で再評価されています(『千と千尋~』や『ハリーポッター』のヒットはその潮流が背景にあるに違いない)。

医学の戦いは、老化や病気を“悪”とすることから始まります。それは、死を“敗北”と定義してしまったことからいえば、当然の姿勢でしょう。でも、人間にとって、それは正しいのでしょうか。

 創始者が“メディカル・ヨガ”と呼んだヨガ健康法は「科学的なヨガ」をめざし、アスクレピオス派のアプローチを理解し取り入れながらも、本質はやはりヒュギエイア派に立つ療法です。
だから[ヨガアサナ実践会]はハイジたちの集い。むずかしく考えず、ハイジが雄大なアルプスの大自然を元気いっぱい駈けたように(年齢に関わらず)ゆったりとしたアサナや呼吸法を楽しみながら貴方本来の生命力を発揮してくださいますように!

アイスクラピウス(アスクレピオス)
Aesculapius

世界で最初の開業医である。太陽神アポロンとニンフのコロニスの間に生れ、アスクレピオスと名づけられた。彼は、篤学の士であったケンタウロスのケイロンから医学を学んだが、またたくまに師を凌駕し、当代知らぬ者のない名医として名をはせた。不幸なことに、彼が人間の病をことごとく治していったため、最高神ゼウスは、アスクレピオスが新たな不死の一族を産み出すのではないかと危惧し、彼を雷で打ち殺してしまった。彼は黄泉へ下るところだったが、父アポロンの計らいで天界に召され、医術の神として仕事を続けることになった。

アスクレピオスの息子マカオンとポダレイリオス、娘のヒュギエイアとパナケイアは父の意志を継いで医者になった。2人の息子は軍医としてトロイアの包囲戦に従軍し、ヒュギエイアは健康の女神、パナケイアは治療の女神として天上に列せられた。この一族の手によって、世界初の医学校アスクレピアダイが設立され、以来、神聖なる秘法としての医術が広く教えられるようになった。

ギリシアでは、アスクレピオスをまつった数多くの神殿が建立され、病気に苦しむ人々が、神の御業による回復を祈願して眠りにやってきた。これを、ラテン語では“インクーボ”(神の宮で眠る)と言う。ローマ人は、疫病の根絶のためにヘビに姿を変えたアスクレピオスをイタリアに連れ帰り、アイスクラピウスと呼ぶようになった。それ以来、医者たちは、ヘビの巻き付いた杖を自らの職業のシンボルとして持つようになったのである。

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